『言葉を「歌」で支える文化』

ホスト側の代表者から、歓迎の言葉や自身のルーツなどを盛り込んだスピーチが、マオリ語で行われます。そして、スピーチが終わるたびに、その言葉を支えるように、主催者全員で「Waiata(ワイアタ)」というマオリの歌を歌います。「言葉を話して終わり」ではなく、歌によってその言葉をみんなで支える。日本の学校生活ではなかなか経験することのない、とても印象的な文化です。
そして、今度はゲストである私たちの番。マッセイ・ハイスクールで私たちをサポートしてくださっている国際学生部長の成田さん、校長の鵜飼先生、そして生徒代表の米谷くんから、それぞれ挨拶をしました。そのスピーチに続いて、私たちからも歌を贈りました。
成田さんのスピーチの後には、「君が代」。校長の鵜飼先生のスピーチの後には、「校歌」。そして、生徒代表の米谷くんのスピーチの後には、「Te Aroha(テ・アロハ)」を歌いました。
『「Te Aroha」の歌声に、マッセイの生徒たちが……』
「Te Aroha」は、ニュージーランド、とりわけマオリ文化に親しんでいる人々にとって、とても身近な歌だそうです。歌詞には、愛、信頼、そして平和を願う思いが込められています。私たちがこの歌を歌い始めると、それまで少し緊張した面持ちだったMassey High Schoolの生徒たちの表情が、ぱっと明るくなりました。その様子を見ながら歌っていると、「歌は、人と人との距離を縮めることができるんだな」と感じました。言葉は違っても、歌を通して気持ちを共有する。
今回のスタディーツアーのスタートに、とてもふさわしい時間だったと思います。
『そして「Hongi(ホンギ)」』
スピーチと歌のやり取りが終わると、最後に「Hongi(ホンギ)」が行われます。
これは、マオリの伝統的な挨拶の一つで、鼻と鼻を合わせることで、お互いの生命の息を分かち合うという意味を持つそうです。日本にはない文化ですので、生徒たちも少し緊張しながら体験しました。こうして一連のセレモニーが終了しました。
セレモニーが終わると、今度はみんなでお茶や食事を楽しみます。
手作りのサンドイッチ、バナナマフィン、クッキー、フルーツなどを用意していただき、みんなでご馳走になりました。
マオリの文化では、食べ物を共にすることによって、儀式の中の特別な状態から日常へと戻り、互いに打ち解けた状態になるという考え方があるそうです。つまり、この歓迎の儀式にゲストとして招いていただいたということは、「今日からあなたたちも、私たちのコミュニティの一員です」と温かく迎えていただいた、ということなのだと思います。単なる「学校訪問」ではなく、Massey High Schoolの文化の中に迎え入れていただいた。そんなことを感じる、とても貴重な時間でした。
『Massey High Schoolの教育理念』
セレモニーを終えて、ほっと一息。続いて、オリエンテーションが行われました。
Massey High Schoolの校訓は、「SEEK THE HEIGHTS(高みを目指せ)」です。オリエンテーションで配布されたブックレットには、こんなマオリの格言が紹介されていました…


「あなたが最も大切にしている宝物を探し求めなさい。もし頭を下げるのなら、それは高くそびえる山に対してでありなさい。」
そして、ニュージーランドでの学びの冒険を始める私たちに向けて、
新しい挑戦に対して強い意志と前向きな気持ちを持って取り組むこと。
学校、家族、友人たちからの支えを受けながら、新しい環境の中で自分自身の学びを見つけていくこと。
…と、その大切さが語られました。この言葉は、今回のスタディーツアーに参加する10名に向けて、失敗を恐れず、新しい環境に飛び込み、自分にとって価値ある学びを見つけてほしい、と語りかけてくれているようにも感じます。
マオリの伝統を大切にしながら、こうした教育理念を掲げるMassey High School。
そのような学校で10名が学ぶことができることの意味を、改めて感じる時間となりました。




















