9月1日(木)その1ー『校長だより』第20号ー

【2学期始業式を迎えて】

2学期始業式で生徒の皆さんに話した原稿をアップします。あらためて、この紙面で確認してください。

おはようございます。 九段下の駅から階段を登って、お堀端にでるとシャワーのように蝉の鳴き声がしていた夏。昨日(8月31日)幾分その声が少なく感じました。季節が夏から秋へと移っていくことを音で感じました。

いよいよ2学期が始まります。休み中は大きな事故もなく、元気で今日を迎えることができたことに感謝しています。今年の夏は3年ぶりにコロナによる行動制限がありませんでしたが、予定していた収穫がありましたか? 特に3年生は受験等に向けて特別な夏だったことでしょう。1・2年生も夏期講習、野球応援、短期留学、勉強合宿など充実した夏を過ごしたことと思います。また、先ほど表彰を受けたダンス部、野球部など成果をあげられたことに祝福と讃辞を贈りたいと思います。

1学期の終業式は、一つの節目として4月からの自分自身を振り返り、夏休みを更に成長につなげる時間にして欲しい。そして振り返るときに、「できなかったこと」「だめだったこと」といったマイナスのイメージだけではなく、「できるようになったこと」「成長したこと」にも目を向けながら、次のステップ・アップの目標をしっかりと立てて、取り組んで欲しいと話しました。いかがですか。自分なりの成果を確認し、夏を有意義に過ごし、2学期以降の新たな目標を立てられましたか?

新型コロナウイルスはピークを過ぎたとの報道もありますが、依然として、警戒すべき状況であることに間違いありません。2学期は、文化祭や2年生の修学旅行、球技大会などの行事があります。感染リスクを最小限に抑え、上手にコロナと付き合っていく。withコロナの姿勢をもっていくことが必要です。その上で、皆さんには、授業はもとより積極的な活動を期待しています。

特に9月に予定している二松学舎祭はどのような形で実施をするのか、慎重に検討しています。今できる準備をしっかりしておくようにしてください。1学期から実行委員会が準備してきたことを生かせるようなものに、そして参加するすべての生徒・保護者、さらに中学生等の外部の方も楽しめ、喜んでいただける文化祭になるように工夫できれば良いと考えています。

さて、今日は防災の日です。「天災は忘れたころにやってくる。」という戒めの言葉がありますが、これは二松学舎に学んだ夏目漱石の教え子で科学者の寺田寅彦が防災の必要性を説くのに使った言葉です。

防災の日は、関東大震災が起きた日を忘れないように制定されました。1923年9月に発生しましたから来年ちょうど100年となります。

私の記憶に残る大地震では、阪神・淡路大震災が起きたのが1995年1月、今から27年前の早朝に起きた震災で、神戸に住む親戚が被害を受けました。高速道路が倒壊した映像を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、これは皆さんが生まれる以前の話ですね。東日本大震災は2011年3月、11年前ですから記憶もあるでしょう。当時、私は新宿都庁に勤務していましたが、29階の高層階で激しく揺れました。窓からはお台場で火事が発生しているのが見え、その後、東北各地の大津波の映像が飛び込んできました。翌朝まで都庁に待機し、対応に追われたことを鮮明に覚えています。

でも、喉元過ぎれば熱さを忘れてしまいがち。

私たちの生活で怖いものの順に「地震・雷・火事・おやじ」というのを聞いたことがあるでしょう。雷は屋内にいれば避けることができることができます。火事は多くが失火によるもの。しかし。地震は私たちが努力しても避ける方法はありません。いつ起きるのか、どの程度の規模なのか予測不能です。近年は予知観測が進んでいて、緊急地震速報が発令されることもありますが、いざアラートが鳴っても地震まではほんの数秒しかありません。したがって取りうる対策は机の下にもぐる位で、高が知れています。でも、この身の安全を守ることが最優先の行動で大切だそうです。

火山帯に位置する日本では地震は避けられないと言うことは間違いないのです。

私の好きなテレビ番組の一つに「ブラタモリ」と言う番組があります。日本各地の地質や断層などを探る番組ですが、先日の放送で鹿児島県の桜島を取り上げていましたが、ロケ後に桜島の噴火があり、避難レベル5で島民が一斉避難したというニュースがありました。この番組は以前にも熊本城を取り上げた後、熊本地震でお城の石垣が倒壊するという被害が出たことがあります。火山大国・地震大国NIPPONを再認識させられる内容でした。

では、実際に関東地方で地震はいつ起きるのでしょうか。 地震の周期からみると東京都を含む南関東でマグニチュード7クラスの地震が起きる確率は、今後30年以内で70%と予想されています。発生時期や時間帯にもよりますが、首都直下地震における死者数は最大23,000人に上るとの予測です(阪神6,400人・東日本18,000人)。

想像してください。被害の状況を。発災直後は電気・ガス・上下水道・鉄道・道路・携帯の通信などライフラインが寸断され、大きな被害をもたらすでしょう。火災や津波、土砂崩れなど複合災害の発生も予測されます。都心はタワーマンションが林立し、エレベーターの閉じ込め、山手線外周部にドーナツ状に広がる木造住宅が密集する地域の火災も危険です。帰宅困難者もまた増えるでしょう。さらに、地震による河川の堤防が崩れて、住宅地が水没するリスクが発生します。「海抜ゼロメートル地帯」と呼ばれている荒川下流域は洪水の被害に襲われる可能性が高いと指摘されています。主に江戸川区・江東区・墨田区・葛飾区・足立区が大半を占めている地域で、本校生徒の約4割はこの地域から通っています。

「備えあれば憂いなし」と言います。 国や東京都が地震に対するハザードマップ等を作成し、避難対応を促していますが、最終的に自分を守るのは自分です。何事によらず、普段から安全のために、いざという時にどうしたらよいのかを考えておくことが大切です。少なくとも年に一度は、緊急避難場所や連絡方法、非常備蓄の準備などをご家族で確認してみてください。

学校の施設や設備にも危険や不安と思われるところがあったら教えてください。

では、2学期を安全で充実した生活にしましょう。