8月20日(土)『校長だより』第19号

【甲子園 応援観戦記 ~応援生徒たちと共に~】
野球部が甲子園に連れて行ってくれたのは嬉しいけれど、私にとって甲子園は初めて体験。見るもの聞くものすべてが初もの尽くし。何をどう準備すればいいのか? 次に何が起こるのか?全体像もつかめない中、経験豊富な先生方のリードにそって生徒応援団の甲子園観戦が始まりました。その観戦記を綴ります。

その日は突然やってきました。東東京大会で日体大荏原高校に勝利した日、準備は動き出しました。まずは、応援団責任者の選任から始まり、秋葉教頭先生をはじめ、生徒指導部の曽根先生と浅見先生が中心となり、応援3部の顧問の千葉先生(応援部)、齋藤先生(吹奏楽部)、戸井田先生(チアリーダー部)で応援体制等を確認しました。また、保護者、野球部関係者、同窓会などの対応窓口も野木先生を中心に分担がされました。さらに初戦のチケットの手配、大会本部との書類のやり取りなど業務は数え上げたらきりがありません。その間、8月2日には野球部が大阪に向かって出発し、大会期間中は間先生に現地窓口として同行をお願いしました。私にできることは東京駅まで見送りに行くことぐらい。野球部OB会長らと無事送り出しました。8月3日の抽選会は、学校の1Fホールで結果を注視。くじによっては応援日程が左右されるので一大事です。小林君いいとこ引いてね。並行して、浅見先生は応援団責任者会議に出席するため大阪へ向かい、今後のスケジュール等の詳細を確認してくれました。生徒応援団の引率の先生方や学校対応の先生方の確認、参加者への事前指導や抗原検査などの体調チェックなども準備することとなり、次から次へと確認事項が手際よく進められていきました。

初戦の札幌大谷戦は第三試合となり、応援は日帰りとなりました。朝6時40分に東京駅に集合し、新大阪には9時45分着。その後、生徒はそれぞれバス車内で更衣を済ませ、甲子園へ向かいました。私は吹奏楽部のバスに同乗し、甲子園球場横の駐車場で楽器等の積み下ろしに立ち合いましたが、吹奏楽部以外の生徒は1kmほど離れた駐車場から徒歩での移動です。二松学舎のアルプススタンドは一塁側ですが、球場を3/4周ほど回って入場。炎天下で重い楽器等を運ぶのは一苦労でした。いざ、試合が始まっても熱中症対策のため、引率の先生方は氷を用意し、冷えたドリンクを配るなど生徒の健康への配慮に大忙し、応援している間もありません。ありがとうございます。札幌大谷戦は9回にドラマがありました。同点に追いつかれ、最後は劇的なサヨナラ勝ち。応援のし甲斐がありました。初めての甲子園での校歌は感無量、興奮しました。こうして愛校心が高められていくのだと感じました。整列する選手を讃えると、すぐに球場係員からアルプス席から移動するよう指示があり、追い立てられるように球場外へ。その後、離れた駐車場まで歩き、息つく間もなく新大阪へ(試合終了後、1時間以内に駐車場を出る決まりがあるそうです)、そして17時39分発の新幹線で帰京となりました。

第2戦は試合設定が第二試合。そのため前の日から現地入りする予定でしたが、8月13日は朝から台風8号の影響で新幹線が一時運転見合わせとの情報が入り、移動が危ぶまれました。幸い台風はそれ、18分遅れで20時24分に大阪に到着しました。コロナ対応で仕方ありませんが、ホテルは全員シングルルームで部屋でのお弁当、部屋に缶詰はちょっと寂しい夜となりました。翌朝は6時起床で弁当を食べた後に移動。14日はお盆の日曜日で朝からチケットは完売でスタンドは超満員。対戦相手は地元兵庫県の社高校でした。相手のバスを数えたらなんと21台です(因みにうちは7台)。地元応援者を含めると完全なアウェー。試合は、とんとんと前半に7点をとり、うちのペースで進み、快勝と思いきやまたも後半に山場がやってきました。7回、8回に2点づつ取られ、9回にも1点取られて2点差。ツーアウトからもハラハラでした。満員の球場は社高校一色といった感じで重川君の一球ごとに“Woooo”といった歓声が甲子園をつつみ、ゾクゾクする感じでした。結果は逃げ切り、うちの勝利。夏に2勝を挙げ、歴史を塗り替えました。この日も足取り軽く、 17時27分に帰京しました。

第3戦は大阪桐蔭戦で春夏連覇を目指しているチーム。どのような戦いになるのか期待は高まるばかり。この日も駐車場に桐蔭のバスが止まり、降りてきた選手を見て仰天「デカイ!!」の一言。控えの選手たちでしたがレギュラー陣はどんな人たち?と思わせる体格の集団でした。第2戦に引き続いて地元応援が多く、阪神甲子園駅から球場に降り立つ人はブルーの桐蔭Tシャツを着た生徒たち、そして三塁側のスタンド入り口で待つ人々は桐蔭の大応援団で、またもアウェー感満載です。大林一夫松友会(同窓会)会長、松田宗剛父母の会会長とともにスタンドに駆けつけていただいた皆様に声援をお願いし、頑張って応援しようと改めて気を引き締めて臨みました。勿論、応援団生徒、保護者の皆さんも決戦を前に気合が入っていました。  試合が始まると、大阪桐蔭は打撃の良さに加え、そつないプレイで序盤に4点をとり、ピッチャーは140㌔台の速球を武器に、うちの打線を苦しめました。点が取れないもどかしさを感じずにはいられません。後半はピンチも切り抜け、いよいよ最終回。連打により何となく空気が変わり始めた予感。球場の照明に灯りがともり、スタンドも二松学舎への応援の雰囲気が出てきたと感じました。応援3部の生徒たちも必死の応援。吹奏楽部の「大進撃」のテーマに合わせ、応援部、チアリーダー部がエールを送り、野球部はここぞとばかりメガフォンを叩き選手を鼓舞し、野球部保護者や学校関係者も一体となって声援を続けました。アルプススタンドが一体となって盛り上がりをみせ、鳥肌がたった瞬間です。 しかし、残念ながらもう一歩及ばず、ゲームセット。ベスト8は次回以降に持ち越しとなりましたが、大阪桐蔭相手にうちの選手はよく奮闘してくれました。それぞれ手ごたえと満員の観衆の中でプレイできる喜びを感じてくれたと思います。この大会を通して、野球部員は自分の成長を感じ、新たなステージや次の目標に向けて始動してくれることでしょう。 感動をありがとう、そしてご苦労様でした。

スタンドを出ると急に大粒の雨、ずぶ濡れになってバスに向かいました。まさに涙雨となりました。この日は、帰京が深夜になるため、新大阪駅前ホテルで宿泊。部屋に戻ると20時半を回っていました。今夜はゆっくり休みましょう。 今回の応援ツアーに参加した生徒は延べ約400人、一生懸命の応援をしてくれました。甲子園球場との行き帰りだけの厳しい日程・行程によく対応してくれました。参加してくれた応援団、吹奏楽部、チアリーダー部そして一般生徒の皆さん、本当によく頑張ってくれました。応援ツアーに参加してくれた皆さんにも感謝です。 翌朝はいつもどおり、6時の起床、9時6分発で東京へ戻り、今回の応援は幕を閉じました。

昨年は長雨で日程が大幅に変更になったと聞かされていただけに、どんな日程で進むのか不安な部分もありましたが、幸いスケジュール通りで全行程を終えることができました。当然、準々決勝以降の日程も視野に動いていましたが、楽しみはまた次回としましょう。 様々な事態を想定して動いていただいた先生方にも感謝です。そして、保護者の皆様、関係者の皆様のご声援ご支援により無事今年の甲子園大会応援を終えられたことに御礼申し上げます。