7月1日(金)「校長だより」第13号

【部活動訪問(1)~野球部編~】

例年よりも20日以上も早く関東地方の梅雨明け宣言が出された翌日(6月28日)、東京都心の気温は午前中から急上昇し、昼過ぎには35度を上回る真夏日となりました。そんな中、柏グラウンドで練習する野球部を訪問しました。  

15時30分頃、すでにウォーミングアップを終えたところに到着すると、グラウンド入り口で吉田コーチが迎えてくれました。先ず一塁側のベンチからバッティングの練習の見学。いわゆる“鳥かご”と呼ばれるゲージから順番に打撃練習に取り組む様子を確認。いい当たりが何本も出ていました。  その後、市原監督とピッチング練習を視察。どれくらいの球数を投げるのか監督に尋ねたところ、「それぞれ任せています。自分で考えて、本番に合わせてくれればいい」と選手の自己管理にゆだねているようです。投げ込みをする選手にも、あまり多くを指示せず「球を置きに行くなよ。腕を振れ、小手先でコントロールするな」とだけ声をかけ、選手の持ち味を壊すようなことをしないのが指導方針なのだろうと聞いていました。

17時頃には全体での練習は終了。期末考査も控えており、1・2年生は一足先に寮に戻りました。その後、大会メンバーと3年生の練習に移りましたが、ここでも選手に考えさせる指導。メニューは主将の小林君に任せられ、フライの捕球や試合を想定した連携プレーの練習に入りました。どこまでやるのか何本やるのかも主将の判断。時折、監督のアドバイスに耳を傾け、チームで集まって考える時間も割いて練習の精度を高めているようでした。

夏の選手権大会の組合せも決定し、素人の私は対戦相手の分析や勝算などが気になるところ、これまでの結果から、いやがうえにも勝利への期待も高まり、監督の頭の中ではいろいろと戦略があるのだろうと大会への展望を尋ねました。が、返ってきたのは「我は我、相手が勝った負けたではないから」と自分たちの野球をすればよいとの返事。その一方「うちのチームはもってるからね。春の選抜や関東大会にも出場できたし… 選手の力をどう引き出してあげられるかが私の仕事です。」と語ってくれました。当然、(優勝を)狙っているのだろうと勝手に納得しましたが。また、小林主将は、「3季連続で甲子園に学校を導きます」と力強く話してくれました。 二松旋風をまき起こしてくれることを期待しています。

グランドの選手や寮で勉強する選手らを激励し、食事等の提供をしてくださる寮母さん方にお礼の挨拶をして柏グランドをあとにしました。

6月26日(日)「校長だより」第11号

【熱中症予防 × コロナ感染防止】

蒸し暑い日が続いています。皆さん体調管理は上手にできていますか? 学校の環境はエアコンの改修工事が終了し、教室ではほっと一息つけるようになりました。

これからの時期に心配されるのが、熱中症です。高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態で、室内でも発症し、場合によっては死亡に至るケースもあります。

そこで、考えなければならないのがコロナ感染防止のためのマスク着用との兼ね合いです。これまで感染対策の有効な方策としてマスク着用が推奨されてきました。しかし、マスクにより熱が逃げにくくなったり、気づかないうちに脱水になったりするなど、体温調整がしづらくなってしまいます。

先日の柏集中体育(2年生)において、先生方から「運動時はマスクを外して」との呼びかけがありましたが、マスクを着用している姿が目立ちました。以前、テレビのワイドショーやネットで知った言葉に、「顔パンツ」があります。マスクを外して顔を人前にさらすのは、人前で下着を脱ぐのと同じで、マスクはもはや顔のパンツとなった、という人が多くなっているようです。

「顔パンツ」を検索すると、「外して幻滅されたくないんですよね。『残念な顔』とか思われたら嫌じゃないですか」と語る女性(24歳)ほか、「表情を読み取られず、話したくないアピールにもなる。先生に怒られてもダメージが少ない」という男子学生(21歳)の声も紹介していました。調査によると、コロナ後も「外出時はマスクを着ける」が約25%という結果でした。

私は、個人的にはマスクは、鬱陶しいと感じています。雨の日には、眼鏡が曇ることにもうんざりです。よって校長室で一人でいるときは極力外しています。また、コミュニケーションを図る時の情報量が大きく減ってしまうことも心配です。「メラビアンの法則」によると、話の内容(言語)、表情(視覚)、声質(聴覚)の情報のうち、どの情報を優先させるかというと、言語7%、視覚55%、聴覚38%だそうです。つまり、話の内容より、見た目や声の調子などの「非言語の情報」が9割以上も優先されるそうです。マスクをすると、顔の表情が半分以上隠れてしまい、視覚の情報量が半減します。

歳をとり、認知・認識の能力が衰えたせいか、とても不便を感じます。以前から知っている人は、過去の記憶がインプットされているため、目元だけでも全体を想像して顔を認識できますが、初対面の人がマスク顔の場合、なかなか覚えられません。たぶん、別の場所でバッタリ出会っても、気づかないこと請け合いです。もし無視したとしても、どうか許してください。

文部科学省、環境省や厚生労働省からは、熱中症が命に関わる重大な問題であることから、マスクの着用が不要な場面(体育の授業や部活動の運動中、登下校時)では、熱中症対策を優先するよう注意喚起がされています。もちろん、できるだけ距離を空け、近距離での会話を控える、屋内の体育館等の場合には常時換気を徹底するなどの取組が必要なことは言うまでもありません。

現在、コロナの感染者数が少し減っているようですが、「熱中症予防」と、「コロナ感染防止」を上手に両立させていきましょう。

6月19日(日)「校長だより」第10号

【視点を変えてみよう!】

図書室の前に掲示されている「図書館教育ニュース」に目がとまりました。ちょっと見慣れぬ逆さまの地図です。日頃、我々が目にする日本地図とは配置が違いますね。 日本列島は大陸から切り離された島国というイメージが強いと思いますが、この地図を見ると、日本列島が日本海という大きな湖をかこんで、ユーラシア大陸、朝鮮半島とつながる、環(わ)の一部のように見えてきませんか? そうです、日本は環の一部なのです。このように日本海をかこんで環のようにつながる地域を、「環日本海(かんにほんかい)地域」とよんでいます。通称「逆さ地図」の正式な名前は「環日本海諸国図」といい、元は富山県が作成したものです。

当たり前の話ですが、世界各国、国によって「世界地図」は違います。日本だと、当然、地図のど真ん中に日本が位置する世界地図です。小学校のころから見慣れている日本の世界地図は、日本が真ん中、向かって左(つまり西側)に中国ほか、アジア大陸。太平洋を挟んで向かって右(つまり東側)にアメリカ大陸があります。ど真ん中に太平洋が位置し、世界各国の位置を知るにはちょっと分かり辛いかもしれませんね。

ヨーロッパを中心とした場合、経度0度に位置するイギリスのグリニッジがほぼ中心に描かれることになり、当然、日本は地図の右端、最も東側、つまり極東(「Far East」、「日出ずる処」)の国となるわけです。 今回のように、地図をひっくり返してみると、ロシアや中国、北朝鮮、韓国などが太平洋に出るにはあまり好条件とは言えない現実が見えてきます。この位置がもつ意味について、地理的環境から、国家間の関係を分析したり、外交や軍事戦略の理解に生かしたりする学問を「地政学」といいます。興味をもってもらえたでしょうか? ロシアとウクライナが紛争状態に入って3か月以上が経ちますが、今一度地図を眺めてみてください。地政学から見ると、ロシアの意図が見えてくるでしょう。

地図に限らず、物事を違った視点から見てみると新たな気づきが生まれます。一方的な見方ではなく、他面的に物事をとらえたいものです。 人と人との関係で考えるならば、「こんなことを言ったら、こんなことをしたら、相手はどう思うだろう?」と相手の立場に立って考えてみることなのでしょうね。ちょっとした配慮や気遣いで円滑な人間関係を築いていけるものです。「仁愛」=思いやりや情けをもって人を愛することに通じます。

ちなみに国連の旗に使用された紋章は、特定の国を特別扱いすることのないように、本初子午線(0度経線)と180度経線が地図の中央になるようにデザインされています。